花と緑のまちづくり推進協議会

花ごころバックナンバー

広報誌「花ごころ」情報局

広報誌「花ごころ」に連載中、園芸研究家の山さんの"花コラム"を掲載しています。


テーマ:フジ(藤)
平成30年冬号

 私は色違いのフジ盆栽を3鉢ほど持っていますが、まずその速成仕立てを紹介します。
 冬のうちにヤマフジの蔓を太さ3〜4cm、長さ30〜40cmにカットした丸太を土に埋めておきます。接ぎ穂のフジの芽が膨らみ始める直前に、丸太を掘り出して頂点に2〜3本接ぎ木をし、深めの鉢に赤玉土などで挿し木するのです。接ぎ木部分を保護して鉢ごとポリ袋で覆い、半日陰におきます。
 新葉が数枚展開すれば、ほぼ活着ですから少しずつ換気して日当たりに移動します。発根はやや遅れます。高い湿度の中ですから、接ぎ木の合わせがよほど劣悪でない限り失敗することはありません。運が良ければ翌年、普通でも翌々年には花がみられます。一挙に古木を狙って丸太が太すぎると、切り口がふさがらず、後年腐敗の原因になります。
 原種は、日本に多湿を好み花穂の長いフジと短いヤマフジ、中国と米国には乾燥に強く花穂の短いシナフジ、アメリカフジがあり、米国ではシナフジの植栽が普通のようです。
 日本には藤のつく名字が多く、家紋にもよく見られるように、梅や桜などよりもはるかに古い時代から、花とともに藤蔓皮の繊維が庶民の衣服の材料として生活に深くかかわってきたといわれます。日光を求めて他樹を覆い尽くす生命力は、千年を越すとされる古木も現存しており、花とともにいろいろな方向から鑑賞してみたいものです。